
実家の片付けでいちばん難しいのは、作業そのものより「親が捨てたがらない」ことかもしれません。話を進めるうえで押さえたいのは、次の3点です。①物の持ち主は親だという前提に立つ、②「捨てて」ではなく「つまずく」「探し物が多い」といった暮らしの困りごとから話す、③一度に全部ではなく一か所から始め、迷う物は「保留」にする。子どもの側が急ぐほど、話はこじれやすくなります。
この記事では、親御さんがお元気なうちに実家を片付けたい方に向けて、話し合いの進め方と、意見が割れたときの落としどころ、業者に頼む前に知っておきたい注意点をまとめます。
まず「物の持ち主は親」という前提を共有する
実家にある物の多くは親御さんの持ち物で、捨てるかどうかを最後に決めるのは、原則として親御さん本人です。民法第206条も「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。」と定めています。
子どもがよかれと思って、親御さんの留守中にまとめて処分してしまうと、片付け以前に親子の信頼が崩れかねません。実家には、きょうだいが置いていった物や、親御さんのきょうだい(おじ・おば)から預かった物が混ざっていることもあります。ご両親の物が混ざっている場合は、どちらの物かを確かめ、お二人それぞれの考えを聞いてください。施設に入っているなど、親御さんが実家を離れている場合も、持ち主は親御さんです。「誰の物か」をはっきりさせてから手をつけるのが、遠回りに見えていちばんの近道です。
親御さんご本人の意思を確かめるのが難しい場合は、家族だけで進めず、お住まいの地域の地域包括支援センターや専門家に相談してから進めてください。
💡 ポイント
親が捨てたがらない理由を先に聞く
「捨てて」と言う前に、なぜ手放したくないのかを聞いてみてください。理由が分かると、捨てる以外の解決策が見えてきます。
▶ 「もったいない」「まだ使える」
物を大切にしてきた世代の方ほど、使える物を捨てることに抵抗があるかもしれません。「捨てる」ではなく「使ってくれる人に譲る」「必要な分だけ手元に残す」と言い換えると、受け止めやすくなることがあります。
▶ 思い出が詰まっている
写真や手紙、子どもの作品、贈られた品には、その物にしかない思い出があります。ここは無理に減らさなくてかまいません。散らばっている物を一か所にまとめるだけでも、家の中はずいぶん片付きます。
▶ 自分の暮らしを否定された気がする
「こんなに物があって危ない」「散らかっている」という言い方は、親御さんにとっては暮らしぶりを責められているように聞こえることがあります。物の多さではなく、親御さんが困っていることを主語にして話すのがコツです(具体的な話し方は次の「コツ1」で紹介します)。
話し合いを進める5つのコツ
▶ 1. 「捨てて」ではなく「困りごと」から話す
廊下や階段に置いた物につまずく、高い棚の重い物を下ろすのが大変、よく使う物がすぐに出てこない。こうした困りごとは、親御さん自身も感じていることが多いものです。「ここだけ通りやすくしよう」という提案なら、話に乗ってもらいやすくなります。
▶ 2. 一か所・一日で終わる範囲から始める
「家じゅうを片付けよう」は、親御さんにとって負担が大きすぎます。玄関、廊下、使っていない部屋の押し入れの一段など、一日で終わる範囲を決めて始めましょう。一か所が片付いて暮らしやすくなると、次の場所にも前向きになってもらえることがあります。
▶ 3. 「残す・手放す・迷う」の3つに分ける
決められない物は、無理に決めずに「迷う」箱に入れます。箱に日付を書いておき、「次の帰省のときにもう一度見よう」と期限を決めて保留にするだけで、話し合いが止まりにくくなります。
▶ 4. 子どもが置いていった物は先に引き取る
卒業アルバム、昔の服、趣味の道具など、子ども自身が実家に置いたままの物は意外と多いものです。まず自分の物を持ち帰るか手放すかを決めると、親御さんに「自分たちの物も見直そうか」と思ってもらえるきっかけになります。
▶ 5. きょうだいにも経過を伝える
一人の子どもと親御さんだけで進めると、あとから別のきょうだいに「勝手に捨てた」と言われることがあります。何を残し、何を手放したかを、写真やメッセージで共有しておくと安心です。
⚠ 注意
意見が割れやすい場面と落としどころの例
どの家にも当てはまる正解はありませんが、よくある場面ごとに「こう折り合う方法もある」という例をまとめました。決めるのは親御さん、という前提は変わりません。
意見が割れたときの落としどころの例
| 場面 | 親御さんの気持ち(例) | 落としどころの例 |
|---|---|---|
| 使っていない食器や贈答品 | いつか使うかもしれない | ふだん使う分だけを取り出しやすい場所に残し、残りは「迷う」箱で期限を決めて保留 |
| 着ていない服 | まだ着られる | この1年で着た服を手前に、着ていない服は別の場所へ。次の衣替えで改めて見直す |
| 写真・手紙・アルバム | 捨てられない | 無理に減らさず、まず一か所に集める。整理するかどうかは親御さんのペースで |
| 趣味の道具やコレクション | 大事にしている | 手放すかどうかは親御さんが決める。置き場所の範囲だけを一緒に決める |
| 大きな家具 | 高かった・思い入れがある | 処分ではなく、通路をふさがない位置へ動かす、倒れないように固定するなど「安全にする」方向で考える |
| 子どもが置いていった物 | 自分では捨てられない | 子ども自身が、持ち帰るか手放すかを先に決める |
自分たちで粗大ごみに出すとき(船橋市の例)
ここでは船橋市の例を紹介します(ほかの市町村はルールが異なります)。船橋市の粗大ごみは事前申込制で、1世帯1回5点まで、次の申込みは7日後からです。市は「第三者が代理で申込むことは原則できません。」としているので、申込みは原則として親御さん(お住まいの方)が行います。離れて暮らす子どもが代わりに手続きしたいときは、事前に粗大ごみ受付センター(047-457-4153・月〜金の午前9時〜午後4時、祝休日・年末年始を除く)に確認してください。
65歳以上の方や障害のある方のみの世帯などで、粗大ごみの運び出しが難しい場合は、屋内から持ち出して収集する「クリーンサポート収集」もあります。インターネットでは申し込めず、受付センターへ電話で申し込みます。現在は申込みが増えて、実施まで3〜4週間程度かかると案内されています。また、生活保護世帯などは粗大ごみの手数料が免除されます。こちらもインターネットでは申し込めないので、受付センターへ電話で申し込みます。
業者に頼む前に知っておきたい注意点
話し合いがまとまり、量が多くて家族だけでは手に負えないときは、業者に手伝ってもらうのも一つの方法です。ただし、頼み方には注意が必要です。
不用品回収のトラブルは実家の整理でも起きている
国民生活センターは2022年11月、不用品回収サービスについての相談が2021年度に2,000件を超えたと発表し、「安価な定額パックを申し込んだはずが、作業終了後に高額な料金を請求された」といった事例を紹介しました。
その中には、「空き家になっている母の家を整理しようと思い」インターネットで探した事業者に「詰め放題」のプランで頼んだところ、当日になって荷台の囲いの高さまでしか載せられないと言われ、断るとキャンセル料を求められた例もあります。
同じ発表では、一般家庭から出る廃棄物の収集・運搬には、市区町村の一般廃棄物処理業の許可または委託が必要であること、広告を大々的に出している事業者が許可業者とは限らないことも指摘しています。見積りを取るときのポイントとして挙げられているのは、次の4つです。
- 市区町村のホームページなどから、一般廃棄物処理業の許可業者を探す
- 追加料金の有無を確認する
- 作業内容と料金を明確に出してもらう
- キャンセル料を確認する
発表では、複数社から見積りを取ることや、許可業者であっても家庭のごみを扱えるかどうかは市区町村の窓口に確認することも勧めています。
⚠ 注意
「残す物」は業者に頼む前に決めて伝える
国民生活センターは2018年の遺品整理サービスについての発表でも、「処分しない予定の遺品が処分された」という相談を紹介し、「残しておく遺品と処分する遺品を明確に分けておくようにしましょう」と呼びかけています。親御さんがお元気なうちの片付けでも、同じことが言えます。残す物は、作業の前に親御さんと決めて、はっきり伝えておきましょう。
便利屋ファーストにお手伝いできること
便利屋ファーストの部屋の片づけでは、次のようなお手伝いをしています。「何を捨てていいかわからない」「大切な物とそうでない物を分けてほしい」といったご相談も承っています。
- 仕分け・分別のお手伝いと、自治体のルールに沿った処分方法のアドバイス
- 重い家具の移動・配置換え(壁や床を傷つけないように養生して作業)
- 市の粗大ごみ収集に出すための、申込みのときに決めた排出場所への運び出し
- ご家族が立ち会えない場合の作業(事前にお知らせいただければ、作業後の写真をお送りできます)
- 現地に伺うのが難しい場合は、写真を送っていただくだけでも概算のお見積りが可能
ご家族からご依頼いただく場合は、持ち主である親御さんご本人の了承を得たうえでご依頼ください。了承が得られないうちは、作業を急がずにご相談ください。
料金は事前にお見積りし、基本的にはお見積りどおりの金額で対応します。現場で内容に大きな変更があった場合のみ、お客様の了承を得てから対応します。そのほかのサービスはサービス一覧でご覧いただけます。
補足:親御さんが亡くなった後の片付け
この記事は親御さんがお元気なうちの片付けを想定していますが、亡くなった後の片付けは、相続とのかかわりがあるため処分を急がないでください。便利屋ファーストでは遺品整理のご相談も承っており、処分すべきか迷う物はすぐに廃棄せず、ご相談しながら一つひとつ確認して進めます。
⚠ 注意
相続人が複数いるときは、亡くなった方の財産は、原則として相続人全員の共有になります(民法第898条)。片方の親御さんが亡くなった場合は、残された親御さんも相続人の一人で、ご自身の物はその方の持ち物です。処分する物は相続人同士で話し合ってから決め、相続放棄を考えている場合や話がまとまらない場合は、処分する前に弁護士・司法書士などの専門家に相談してください。
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